2026.03.02
ブログ

三月の風と、迷い子のハンバーグ。

三月に入り、窓の外を流れる風に、ふっと春の匂いが混じるようになりました。
冬の重たいコートを脱ぎ捨てたくなるような、そんな暖かい日もちらほら。

いつもの隅っこの席で、私はノートを広げています。
三月は、別れと始まりの季節。
冬の間、多くのお客さまの心と体を温めてくれた期間限定の「ホワイトシチュー」も、今月いっぱいで幕を閉じます。
最後の一匙を惜しむように召し上がるお客さまの姿を見るたび、感謝と共に、次の季節への宿題が私の胸を占めるのです。

「うちには、ハンバーグ料理がないんだよね」

ふと、ひとり言がこぼれました。
サンドイッチ・ファクトリーという名の通り、私たちはパンと具材の調和を大切にしてきました。
けれど、あの肉汁が溢れるハンバーグという存在が、この春、どうしても気にかかっています。

ハワイの風を感じるような、目玉焼きを添えたロコモコ。 あるいは、両手でしっかり抱えて頬張る、ボリューム満点のハンバーガー。

じっくりと焼き上げたハンバーグを、どんな一皿に仕立てれば、この場所を訪れる皆さんの「春の活力」になれるだろう。
ピアノの横、少しだけ奥まったこの席で、私の思考はあちこちへ飛んでいきます。

老若男女、いろんな方が集うこの店だからこそ、誰もが一口食べた瞬間に「ああ、今日来てよかった」と思えるような、そんな優しいハンバーグメニューを形にしたい。

まだ、答えは見つかっていません。
ホワイトシチューの白い湯気が消える頃、代わりにどんな香りが店内に満ちるのか。

新メニューのハンバーグを巡る私の小さな葛藤は、もう少しだけ続きそうです。
皆さんは、春の始まりに、どんな一皿を食べたくなりますか?